第6回ワークショップ報告/トラディショナルな絞りを習った。
かわうその藍染め製品はそのほとんどが型染めです。
上の写真の右手前のように、型紙に文字や模様を彫り、それを布の上に置いて糊をペーストする。糊が防染することで模様を残すのが型染めです。
第6回のワークショップは、藍の一大産地である徳島の藍工房で、絞りの技術を身につけられた坂由香里さんを講師としてお招きし、「日本の伝統的な絞り」に挑戦してみました。
上の写真のKawauso手ぬぐい以外は、すべて絞りでつくられたもの。坂由香里さんの作品です。
絞りは基本的には糸で布を縫って縫い目をしごいて寄せ、内側に染液が入らないようにして白く残し、模様をつくるものです。糸で縫うほかに、糸や紐、輪ゴムなどで括ったり、じゃばらにたたんで幾何学模様をつけたりなど、いろいろな技法があります。
今回は、絞りの技術に関してはまったくの初心者ばかりが集まり、3時間程度で準備が完了する技法をいくつか選んで挑戦してみました。
どんな様子だったか写真でご報告。
3時間程度できっちり絞りあげるところまで完成させねばならないので、坂さんにある程度の下準備をしていただきました。事前に選んだ模様を、どう縫えばそれができるか、ガイドラインが引いてあります。
そのラインのどの位置、どれくらいの量、模様によってはどれくらいの間隔、あるいはどちらの方向に縫うか、などで、同じ技法でも十人十色のデザインとなります。もちろん、縫うときのそれぞれ手のクセが、模様のたいせつな表情になる。
これはひたすらまっすぐ縫ってゆく直線。中央が仕上がり見本。
細長い布の長手方向に水平に縫うか、その垂直を選ぶか、布全体に対してどれくらい縫うか、端っこ?まん中?などを考えてデザインにする。
豆絞り。布の好きな場所をひし形に染め残して水玉のような模様をつくる。布をつまんで小さなてるてる坊主を作る容量で根元をくくる。つまんだ中にビー玉などを入れてくくってもよし。どの位置をくくるか、どれくらいの大きさにくくるか、布全体のどれくらいの面積をくくるか、でデザインがきまる。
これけっこう、デザインが自由自在。布がまっしろの状態からとりかかるから。
作業がもっとも職人っぽかった「蛍」。
出来上がり見本のごとく、ほのかにほわっと模様が出ますが、作業は、じゃばらに折った布の、両方の折り端を、重なった布のぶんだけグサリと、垂直に針を刺して糸でしっかり括ってゆく。
四種めは「山路」。じぐざぐと縫います。あらかじめ決まった法則に沿って打ってある点々。これは布の長手方向に縫いますが、横手方向のどれくらいの幅を縫うかで模様が決まる。端によせてもよし、やや中央寄りでもよし、どかっとまんなかでもよし。少し間を開けて、二列とか、三列とかね。でも点々の意味を解するまでやや混乱。
そしてこんな風に縫ってゆく。法則が頭に入ればスムーズに。
山路を何段か縫いおわってから、糸を引きしめたところ。1メートル50センチくらいの長さが10センチくらいになっちゃった。ダーツをしごいてしごいて、えー、まだですか?もっとですか?とうろたえるほど、もうこれ以上動きません、ってくらいしごいてゆく。そしてしっかり玉留め。
だいたいこんな感じで準備完了。
最後に、坂さんが今年の春から育てた藍が、ちょうど刈り取り時期だったということで刈ってきてくださった、藍のドライフラワーの写真を。
シャーレに入った土のようなものは、「すくも」。これぞ「藍染めの素」です。
刈り取った藍の葉を室に重ね入れ、水をかけながら3カ月ほど発酵させてつくる。発酵しているときの室の温度は70度。藍をつくる人を藍師といいます。杜氏さんのごとき専門職。水の調整もたいへん重要で、藍染めが重要産業だった時代には、藍師とは別に「水師(すいし)」という職業も存在したそうです。
土みたいに見えるけど、この中にインジゴ色素が含まれているのです。この「すくも」に水を加え、木灰(あく)でアルカリ化したのが藍の染液。そこに布を浸し、藍甕からあげて空気中にさらすと酸化して布が藍色になる。
青く変わってゆく数十秒ははまるで魔法のようで、白い布がうっすらと草汁の色を帯びて甕からあげられ、みどり色、さらに青へと、みるみる変わってゆく様子を見るのも、藍染めの魅力、たのしさです。ワークショップ、またの機会にぜひご参加ください。