野口さんの染め仕事<高尾山>/訂正
節分は季節の分かれめ。暦のうえでは春のはじまり。日もずいぶん延びてとくに夕方に早春の気配を感じる時期ですが、寒さはまだまだ厳しい! うす曇りの2月8日、節分の日に糊置きした生地を染める作業に行ってまいりました。
野口さんにお仕事のことをあれこれおうかがいするうちに、先の記事の中で数字等、間違って書いていた部分があることがわかりましたので、ここで訂正します。
「長板は、それぞれ巾40センチ、長さが14メートルぐらい。ちょうど、反物が一反、広げられるサイズです。」と書きましたが、長さは6.5メートルの 間違いでした。ちょうど、反物の半分の長さを一度に広げられるサイズ。まず半分、糊置きをして、それが乾いた後巻きとって、さらに半分を糊置きするのだそ うです。
「寝かされていると言っても地べたに寝かされているわけではなく、地面から50センチくらいの高さでしょうか。その高さにはたいせつな意味があって、反 物をその上に広げて型を置いていくとき、13メートルある反物ものの端から端までいっぺんに、職人さんがじぶんの目の高さで見渡すことができ、狂いがない かを確認できる高さなのです。」の部分への加筆補正。
地面からの高さは、だいたい膝ぐらいが目安。職人さんそれぞれが自分の背の高さ、腕を動かすのにちょうどいい高さに調整するのだそうです。また、その高 さの意味には、腕をもっとも長く弧を描ける高さ、つまり、長い一続きの線などを糊置きするときに、一度に腕をストロークできる長さがじゅうぶんである高さ であり、かつ、腰をかがめたときに負担ができるだけ少ない、ということも求められるのだそうです。
高尾山のお蕎麦屋さんの幟のほかにも、日本橋「にんべん」、浅草「駒形どぜう」、上野「櫛の十三や」などの暖簾(のれん)も、野口さんのお仕事です。 「にんべん」は、コレド室町の一階、中央通りに面した入口に掛かっていますので、通りすがりにちらっと見たことのある方も多いのでは。ぜひぜひ一度近くで じっくり見て、藍染めのこっくりとした深みをあじわってください。
野口さんのお仕事の中核は、「長板中形染」という、反物を染めるお仕事なのですが、それについては、またおいおい、ご紹介していきたいと思います。